院長の森です。

毎年この時期になると、がんに携わる医療関係者の会話には「アスコが・・・、アスコで・・・」という話題が増えてきます。アスコとはASCOのことで、アメリカのシカゴ開催される年に一回の大きな癌学会です。乳がん関連の大きな研究結果が発表されて治療が大きく変わることもあるので世界中の癌関係者が注目する学会です。私もアメリカ留学時代に一度参加したことがあるのですが、マコーミックプレイスというものすごく広い会場で、移動するだけでも大変です。今年は6月3日から開催されています。

学会では毎日Daily Newsが発行されるので、参加できないときはこれをチェックするとどんなことがトピックだったのか分かります。日本からの参加者も多く、確か日本語版も現地では手に入ったように記憶しています。

乳がん関係でのトピックの一つは、エストロゲン受容体陽性の転移性乳がんでのCDK4/6阻害剤についての発表でした。第2相試験のMONARCH1では前治療歴のある転移性乳がんに対してのAbemaciclib単剤投与での有効性が示されました。奏効率19.7%、6か月以上の不変であった22.7%を加えると合計42.4%で有効であったとされています。また、エストロゲン受容体1の変異があることでアロマターゼ阻害剤に抵抗性を示しうることや、悪い予後を予測する因子であること、通常のホルモン治療であるフルベストラントに加えてPalbociclibを加えることの有効性が示唆されました。